Department of European Civilization

教員・研究室紹介

柳原 伸洋 講師

ドイツ現代史を通じて 私たちの過去・現在・未来、自己と他者 そして日本とドイツ・ヨーロッパを 思考と発想で結びつける

20世紀における軍事と社会の関係の変化を「空襲」をテーマとして、歴史・記憶文化・市民社会・サブカルチャーについて研究しています。主な研究フィールドはドイツを中心としたヨーロッパ地域ですが、日本との比較も行います。また、身の回りにある生活用品や工業製品の発想やイノベーションの歴史を通じて、歴史的な想像力に関する教育、研究そして執筆を進めています。

1. 研究について

1911年に開始され、その後20世紀に本格化した戦術・戦略が空襲です。空襲は、銃後の都市部を含めた攻撃対象空間に存在する生命を大量に殺傷する手段として用いられます。私は、空襲が人間社会に与えた影響を以下の三点にわたって研究しています。それは、(1)恐怖によってコントロールされ、自発性と強制性の中間にある「民間人の防空」、(2)実際に多く人が死ぬこととなった「空襲の実態」、(3)戦争体験をいかに非体験者に残していくかという「戦後の記憶」研究です。 また、ライター・伸井太一として、研究書に限らない書籍・記事を執筆しながら、歴史研究と読者との間を架橋する歴史コミュニケーションとは何かについて考えています。


【空襲によって破壊されたが、2005年に再建されたドレスデン市の聖母教会】

2. 研究の楽しさ

私の講義やゼミは、約9000キロも離れたドイツ及びヨーロッパについて、身の回りの製品から理解する試みです。日常生活で何気なく目にしたり使用したり食べたりしている身の回りの製品にも歴史があります。自動車、筆記用具、バウムクーヘンなど…。

普段は見慣れた風景の中に溶け込んでいた製品の奥深さが分かったとき、そこに生まれる発見や驚き、そこにさらに会話や笑いが生まれることで日常生活が豊かになると考えています。一言でいうと、世界が違ったように見えます。

また、私自身が取り組んでいる戦争と社会の研究についても、日常生活の中に埋め込まれた戦争の歴史の傷跡や記憶を扱っています。戦争の研究をすることは決して楽しいことではないですが、私たちの社会の成り立ちと深く関わる戦争の歴史を理解するということは、製品の背景となる歴史を知ることと同様に世界が違って見えて、夜眠れないくらいに興奮する体験です。


【バウムクーヘン】

【旧東ドイツの大衆車トラバント。
30年以上もの間、生産され続けました】

3. ゼミ・教育について

ゼミで主に取り扱うテーマは以下のとおりです。

  • ドイツ・ヨーロッパ近現代史
  • ドイツ・ヨーロッパ製品の文化史
  • ドイツコンテンツとサブカルチャー
  • ドイツと日本の比較研究

ヨーロッパ文明学科の柳原ゼミでは、「ドイツ」「ヨーロッパ」を通じてヨーロッパの歴史・文化・思想などを知ることを目指します。特にヨーロッパの知識と理解を「使う」ための技能習得を目指します。そのため、卒業論文のテーマは多岐にわたっており、またその学生の学びの多様性を活かして、ゼミ生には「ドイツ」「ヨーロッパ」を総合的に理解してもらうという目的を持っています。そして、ゼミ空間というコミュニケーション密度の高い場では、知識と知識を結びつけ新たな知見を得るという「知の技法」に関して集中的に学ぶことになります。この技能は、ゼミ参加者が将来ヨーロッパとは関わりのない職業を選んだとしても、一生涯にわたって利用することができる技能だと思っています。

柳原 伸洋 講師

《専門分野》
ドイツ現代史、ドイツ・ヨーロッパ文化論
《最終学歴》
東京大学大学院博士課程
《職歴》
在ドイツ専門調査員(内政)を経て現職
研究者情報: http://researchmap.jp/noby/
《所属学会》
現代史研究会
西洋近現代史研究会
《研究キーワード》
ドイツ ヨーロッパ 現代史 記憶文化 製品文化 サブカルチャー
《主な論文著書》
最新の研究・著作・活動情報は、 http://researchmap.jp/noby/ を御覧ください。
「Gedanken zum Luftschutz in Deutschland und Japan.1923-1933」(日本とドイツの防空思想)『ベルリン日独センター発行誌』60号、2010年、243-250頁
「ドイツの空襲展示 統一後のドレスデン市を中心に」『「無差別爆撃」の転回点 ドイツ・日本都市空襲の位置づけを問う』 2009年、43-54頁
「ヴァイマル期ドイツの空襲像 -未来戦争イメージと民間防空の宣伝」『ヨーロッパ研究』8号、2009年、44-61頁
「空襲認識をめぐる諸問題 -ドイツ・ドレスデンを例に」『季刊 戦争責任研究』第 59号、2008年、 49-57頁
『ニセドイツ1≒東ドイツ製工業品』社会評論社、2009年
『ニセドイツ2≒東ドイツ製生活用品』社会評論社、2009年
『ニセドイツ3≒ヴェスタルギー的西ドイツ』社会評論社、2012年
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